財産管理

「私はまだまだ頭ははっきりしているけど、身体が少し不自由なため、銀行に行くのが億劫だ」
「介護保険のサービスを利用したいけど、目が悪いので、自分で申請するのは難しい。誰か代わりにやってもらえないだろうか」
このような場合、たいていの人はこのような場合は同居している家族や近所に住む子供などに頼んで手続を代行してもらうことが多いと思います。
しかし頼める人が身近にいない人、あるいは身近な人がいてもこれから病気の治療や手術のために、もしくは介護施設に入るために多額のお金が必要な場合はそうもいきません。金額が大きくなると口約束では不安だし、金融機関の手続は原則本人でなければできません。手続の毎に委任状を作るのも現実問題として煩雑です。
こうした問題に対応するため「身体が不自由になったときの財産管理や日常的な事務手続を特定の人に代理してもらう」契約として、「財産管理等委任契約」があります。
「生前事務委任契約」と呼ぶこともあります。

 

財産管理等委任契約のメリット

 

1. 様々な契約や手続をまとめて委任できる
財産管理等委任契約書を作成しておけば、その都度委任状等を作成する手間が省けます。契約の内容にもよりますが、日常生活で必要な財産の管理や事務手続を依頼でき安心です。
ただ、財産の管理状況等はご自身でチェックする必要があります。大事な書類や財産関係の書類を預けっぱなしにはせず、定期的に報告を求めることが大切です。
2. 本人の意思を客観的に証明できる

最近、金融機関では本人確認を徹底しています。家族が本人に頼まれたと言っても、客観的にそれを証明できる書類がなければ、出金や振込等の手続はできません。
財産管理等委任契約書があれば、本人の意思を証明することができます。ただ、金融機関での手続については、財産管理等委任契約書を作成していても手続に応じてもらえない場合もありますので事前の確認が必要です。
「家族なのにわざわざ契約書を作るなんて水くさい」と思う人がいるかもしれませんが、このような事はかえってドライに割り切った方が感情的にこじれずうまくいくものです。
子供にとっても委任契約があれば堂々と親の世話をすることができるようになります。
3. 財産を守れる
親の財産を勝手に使い込んでいる子どもがいるような場合は、ほかの親族や第三者に財産管理を任せることで、その子どもを牽制したり、財産の使い込みを防止できたりするメリットがあります。
また複数のこどもがいる場合、そのうちの一人に財産の管理をしている場合には、財産管理等委任契約書を作成していると、その子どもは親の委任を受けて財産の管理を行っていることを周りに証明できるので、安心して親の世話をすることができます。

 

財産管理等委任契約の作り方

 

1. 財産管理等委任契約の契約書は、様式が決まっていないため、私署証書(私文書)として作成することも可能です。
しかし、実際に手続を行う場合などを考えると、公正証書で作成されることをお勧めします。
なお、公正証書で作成する場合は、公証人手数料が必要となります。
専門家に作成を依頼する場合は、専門家の費用も必要となります。

2.依頼する相手は子どもや親戚だけでなく、友人や専門家でもかまいません。
契約書の作成だけでなく、財産管理自体を行政書士や司法書士、弁護士等の専門家に依頼することもできます。
いずれにせよ、本当に信頼できる相手にお願いすることが大切です。

3.報酬も決めておきましょう。家族や親戚に依頼する場合は、無報酬のことが多いです。
その分、遺言書で他の相続人より多めに財産をあげるという方法もあります。
専門家に依頼する場合、財産の内容・金額や事務処理の負担に応じて、月額の金額を決めることが多いです。

4.財産管理等委任契約書任意後見契約書を一緒に作成し、判断能力はあるが体が不自由な間は財産管理等委任契約でサポートしてもらい、判断能力が衰えた場合は任意後見契約で引き続きサポートしてもらうこともできます。
これに死後事務委任契約遺言書をセットして4点セットで老後の準備をされている方が増えています。

 

財産管理等委任契約 任意後見契約
契約ができる期間 認知症等、判断能力が不十分になるまでに
契約の効力が始まる時期 契約によって決める 任意後見監督人が選任されてから
契約の期間 判断能力が不十分になるまで 死亡するまで
公正証書による作成 必要ないが、公正証書が望ましい 必要
監督人の必要性 必要ない(自分が監督する) 必要(家庭裁判所が選任する)
登記の有無 されない される

 

当事務所は、財産管理等委任契約書作成の相談、文案の作成から、公正証書で作成される場合の公証人との連絡調整をお手伝いさせていただいております。

当事務所が財産管理等委任契約をお引き受けすることも可能です。

 

[費用の目安(税別)]
財産管理等委任契約書 作成 80,000円〜
財産管理等委任契約 管理料 15,000円〜/月

 

行政書士長谷部事務所 
横浜市港南区港南台7丁目44番25号

TEL 045−353−7789

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